日本障害者歯科学会とは
日本障害者歯科学会の沿革および概要
本会は昭和48年日本心身障害児者歯科医療研究会として発足し、昭和59年には日本障害者歯科学会と名称変更し、令和7年度現在約5,000名の会員で構成されています。平成11年4月より日本歯科医学会専門分科会に仲間入りをし、平成15年からは認定医制度、平成20年度からは認定歯科衛生士制度、平成29年度からは専門医制度を立ち上げました。
わが国の障害者のための歯科医療は、昭和初期から始まり、20年代までは篤志家的活動でした。しかし40年代から、大阪府をはじめとする歯科医師会による地域医療活動を発端とし、全国に拡大しました。
また病院歯科や医学部歯科口腔外科が積極的に障害者を受け入れ、とくに積極的に対応したのは歯学部小児歯科でした。これは世界的な傾向でもあり、最初は障害児への対応が中心であったものが、時代とともに障害者が増加したためです。そこで昭和51年日本大学松戸歯学部に特殊診療科が開設されました。現在では、29歯科大学に障害者歯科の講座もしくは診療科が必ず設置されています。また、全国に142の口腔保健センターが設置されており、病院歯科でも障害者の診療を受けることができます。一方、歯科医療の内容も疾患治療から保健医療に拡大され、さらに顎口腔機能のリハビリテーションの分野にまで臨床活動が及び、さらには矯正治療希望やインプラント治療を希望するなどクオリティの問題も追及するようになりました。
現在、年1回の総会、学術大会と年3号の機関誌『障害者歯科』の発行、年3回のニュースレターの発刊を行い、全国の障害者歯科医療にたずさわる会員の意見交換、研究活動、医療普及活動の場として中心的役割を担っています。
本学会の目的は、会員相互並びに国内外の関連団体との交流を深め、障害者歯科学に関する研究、教育及び診療についての会員の能力向上を図るとともに、それにより障害者の口腔の健康の維持と向上に貢献し、もって国民の健康と福祉の増進に寄与することを会員共通の目的として、次の事業を行うこととしています。
- 学術大会の開催に関する事業
- 研究発表会、講演会及び講習会などの開催
- 学会機関紙の刊行
- 障害者歯科に関する各種資格認定事業
- 障害者歯科に関する研究者並びに医療・保健・福祉事業者の教育及び育成事業
- 障害者歯科に関する調査並びに合同研究
- 国内外の障害者歯科関連団体との連携及び交流
- 障害者歯科に関する医療・保健・福祉情報の発信並びに啓発事業
- その他本法人の目的を達成するために必要な事業
本学会は学問(大学、研究者)と臨床(歯科医師会活動、開業医)が両輪となってお互いが向上していくことで成り立っています。そこで世界でも類まれな歯科医師会を中心とした地域医療活動と国民の皆様との橋渡し役となり、より内容の充実を図りながら障害者のQOLの向上に少しでもお役に立てるよう努めてまいります。まだまだ日本国内には,障害者歯科提供の地域格差の問題もあります。日本全国の障害者がいつでもどこでもクオリティの高い障害者歯科医療を受けられるように努めています。また、国内だけでなく歴史ある日本障害者歯科学会だからこそ,日本の技術や手法などを海外発信して世界中の障害者の方々にも貢献していきたいと考えております。
2025年6月
公益社団法人日本障害者歯科学会
理事長 野本 たかと