医療安全委員会 - 委員会

重大事故を未然に防ぐためには、ヒヤリ・ハット報告等によって小さなリスク事例を十分把握し、重大事故予防の対策を立てることが、安全管理上の重要なポイントとされます。そのため、多くの歯科医療機関では、医療安全対策の一つとして施設内でのヒヤリ・ハット事例の活用を取り入れていると思いす。

公益財団法人日本医療機能評価機構では、全国の歯科診療所からヒヤリ・ハット事例を収集し、情報を共有することにより、医療安全対策の一層の推進を図ることを目的として、全国の歯科診療所を対象とした歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業の参加登録および事例報告を2023年10月より開始しています。同機構では、以前より医療事故情報収集等事業を行ってきましたが、歯科部門を設置している病院や歯科診療所からの参加件数、報告件数がともに必ずしも多くない状況であったことから、歯科特有の状況を踏まえ、報告しやすいように新たにシステムを整備した事業となっております。

歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業では、全国の歯科診療所を対象に事例を収集するため、自施設では経験したことのない事例を共有することができます。また他施設のヒヤリ・ハット事例を知ることにより、同様の事例が発生しないよう、あらかじめ防止対策を講じることや、他施設ではどのような改善策、防止対策を立てているかを参考にすることができ、その活用は有用です。2024年3月には、収集期間が2023年10月から12月までの短期間であったため、参加医療機関数、報告数はまだ少ないですが、第一回の報告書が公表されました。今後の医療安全への取り組みの一つとして、本事業に参加するとともに、報告書や事例を施設内で情報共有するなど本事業を活用することを推奨します。

参考文献

https://www.med-safe.jp/dental/

日本障害者歯科学会医療安全委員会
小野智史


医療安全委員会

委員会