第18回「歯科ヒヤリハット事例収集等事業第2回報告書」
歯科ヒヤリハット事例収集等事業より、2024年1月から12月までに報告された事例を取りまとめた第2回報告書(2024年1月〜12月)が公表されました。
本報告書では同期間に報告された事例1126件の集計結果に加え、事例の分析として多数報告された「修復物・器具など誤飲・誤嚥に関連した事例」が掲載されています。この中では2023年10月から2024年12月までに報告された修復物・器具などの口腔内落下があったが誤飲・誤嚥に至らなかった事例100件および修復物・器具などを誤飲・誤嚥した事例59件、計159件について分析し、事例の概要、事例の内容、事例の背景・要因、報告された改善策が記載されています。さらに医療事故情報収集等事業に報告された事例、誤飲・誤嚥発生時の対応のポイントも記載されています。
誤飲・誤嚥した事例59件の中には医科受診を指示しなかった事例もありましたが、医療事故情報収集等事業に報告された事例では根管治療中にファイルを誤飲し消化器内科で内視鏡で確認したところ、胃前庭部後壁にファイルが根元まで刺入していた事例等が紹介され、改めて修復物・器具などの誤飲・誤嚥により重篤な影響を及ほす危険性があるため、誤飲・誤嚥か判明した際は歯科医師だけで判断せず、直ちに医科を受診させ医師の診察を受ける必要があると述べられています。
修復物・器具の誤嚥・誤飲に関連する事例は、歯科治療時のインシデントおよび偶発症としては頻度が比較的高く、予防をしっかりするとともに、施設により設備・環境が異なるため自施設で行える対応方法をあらかじめ検討し、職員間で情報共有しておく事が重要で、その際に本報告書が参考になります。
参考文献
https://www.med-safe.jp/dental/pdf/report_2.pdf
日本障害者歯科学会医療安全委員会
小野智史